風土というテーマから逃げない
2014/02/17
風土という難題なテーマから逃げないで取り組みたい。
先日、風土改革に取り組んでいる人たちとの意見交換がありました。
風土というテーマはお客様には理解されにくい、だから、風土という言葉を出さないようにしているというのです。
私は、同じ仕事仲間がそういうことを容認しているとのかと思いがっかりしました。
私は、“理解されにくい”というところに今の世の中で起きている問題や企業や組織の中で起きている問題が本質的に改善されない原因があると思っています。
だから風土というテーマから逃げないで取り組みたいと思います。
確かに仕事にはなりにくいですが・・・・。
だいぶ前のブログにも書きましたが、
例えば、東日本大震災で福島第一原発の事故は風土(原発の安全文化)が原因で事故を防ぐしくみや制度が機能しなかったと言われています。
また、起きてしまった事故を最小限に食い止めるしくみや制度も同様に機能しなかったとわれています。
一方、会社経営面から見ても風土は大きく影響していることがわかります。
どんなに優れた戦略やしくみ、制度、でも風土に問題があると改革は進まない。
例えば、トヨタ生産方式はトヨタ自動車の風土をベースに生み出された”改善し続ける仕組み”です。
多くの企業や組織がトヨタ生産方式導入に取組みましたが本質的に浸透できた企業や組織は多くありません。
仕組みや手法だけを真似してもトヨタ自動車と同じような”改善し続ける仕組み”はできないのです。
書店にはトヨタ自動車での成功体験を基にした仕組みや手法を示す書籍が多く並びますが、合わせて、トヨタ自動車の組織風土にも目を向けるべきだと思います。
繰り返しになりますが、今、改革が進まないと思ったら、戦略やしくみ、制度、が問題ではなく風土に問題があるのです。
戦略やしくみ、制度が正しく機能するには、それらが機能する風土改革を継続して行うことが重要です
仕組みを決めても守らないから、新たな仕組みを考える、または、仕組みを守らせるようにルール化する、そのルールを守らせる新たなルールを決める、指示命令を強くする、実態が変わらない・・・
「どうせ守らなくても許される。やってもやらなくても何にも言われない。先にやったほうが損する。やっているようなうまいプレゼンをすれば通ってしまう」などが当たり前に行われている企業組織では、こういうことを延々と繰り返しています。
その背景には長年積み重ねてできた風土があるのです。
その風土は組織内の人には理解されにくいのは当然で、無意識に、何の疑問を持たないで、思考行動している部分だからです。
その企業・組織の風土は外部の人間でないと気が付かない。
だからと言って「わかりにくい」と言われて逃げるのではなく、風土の変化と仕事の変化をセットで見せていくことが大事だと思っています。
手塚利男(コアネットワークデザイナー&コアネットワーキングするスパイダーマン)
★「ギスギスした職場はなぜ変わらないのか」(日経ビジネス人文庫)
★手塚利男の『ギスギスした職場はなぜ変わらないのか』(Nanaブックス)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901491873/
★通信教育用テキスト本『活気あるチームのつくり方』手塚利男/アイ・イー・シー
http://www.iec.co.jp/products/course/business_skill/tu-04790/tu-04790.html
カテゴリ:風土改革支援現場に立って思うこと