悪い情報も下からあがる組織風土づくりも経営トップの責任(その2)
2010/05/15
先日のブログで、悪い情報も下からあがるような組織風土づくりも経営トップの責任だということを書きました。
今日は、私が工場部門の総務部部長だった時に、部下が危うく不正行為をする寸前に情報があがってきたときの経験を紹介します。
工場内に焼却炉がありました。その焼却炉では決められたものを燃やしているか、焼却炉が正常に稼働しているかを示すために、市に対して定期的に焼却した時にでる灰を提出する決まりがありました。
ある時、他の工場の焼却炉を担当している方から「あなたの部下のAさんが、市に提出する灰をウチの工場の焼却炉から採取して出そうとしている。問題ではないか」との連絡を受けました。
すぐに対応したために違法なことにはなりませんでしたが、驚きました。
そのAさんは、焼却炉の運転状況が安定していなかったので、そのことが灰に表れて工場停止にされる恐れがあると考え、運転状態の良い焼却炉の灰を提出しようとしたのです。
そのAさんにとっては、工場の安定稼働のためには正しいことだと判断したのですが、冷静に考えればおかしいことでした。
なぜ、私に「あなたの部下のAさんが、市に提出する灰をウチの工場の焼却炉から灰を採取して出そうとしている。問題ではないか」と一報が入ったのかと言うと、私は普段から「絶対に不正は許さない。最悪、工場の稼働を止めることがあっても、ごまかすな!」と言い続けていました。
実際にその場になって“工場を止める”という行動をとれる自信があったわけではありませんでしたが・・・・。
しかし、言い続けてきたことが、良かったのではないかと思います。
周囲からは青臭いことを言っていると思われていたようですが・・・。
経営トップと部長では管理範囲が違いすぎますが、上司やトップの普段の言動がいざという時に不正を未然に防ぐことになるのではないかと思います。
何を大事にして仕事をするか、どういう責任を果たすかということを常に言い続け、同時に行動で示す必要ではないでしょうか。
カテゴリ:風土改革支援現場に立って思うこと