泣く泣く削った中間管理職の「術」
2016/10/11
先日出版した「部下からも上司からも信頼される 中間管理職の教科書」を最終まとめの段階でかなりの文量を削減しました。
その削減した中で、7章「結果を出す組織を目指す問題解決術」に入る予定でしたが泣く泣く削ったのが次の「術」です。
とても残念なのでここにアップします。
“できない”理由と“やらない”理由を区別できますか?
→ 理路整然と問題点を挙げているけど「だから私はやらない」と言っているのです。
理路整然とした意見は、もしかしたら「私はやらない」という目的を果たすために、問題点を挙げているだけかもしれません。私も、風土改革支援の現場で数多く経験しました。心理学者アドラーの目的論にも合致します。
たとえば、課の中で業務改革をすることになりました。
改革が実現すると、業務の負荷が軽減されるのです。改革課題を課員一人ひとりが持ちました。月1回の課題進捗会議で報告をしてもらいましたが、予定した通りに進んでいませんでした。
課長がなぜ進まないのかと課員に聞いたときに、課員が「A主任とB主任の進め方が違います」という問題点を挙げてきました。
確かにA主任は、まずは簡単に変えられるところから進めるタイプで、B主任は綿密に計画を立てて着実に進めるタイプでした。それぞれの進め方に特徴があっていいと課長は思っていたので、これまで議題の進め方は問題にしませんでした。
「A主任とB主任の進め方が違います」と問題点を挙げた課員に、「進め方が違うと、あなたが担当している課題推進に直接影響があるのか?」聞くと、返事が返ってきませんでした。
部下は、A主任とB主任の進め方が違うからできないと言っていますが、自分たちは業務改革を積極的にやらないと先に決め、その理由として進め方の問題点を挙げてきたのです。
このように、課員に大きく影響する改革などを実施するときには、「やりたくない」が先にあって、その理由に〝できない〟問題点を挙げているかもしれない、と見る必要もあります。
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