先日、中学時代の同級生と会いました。

 

彼も私も同じ年頃の娘がいますが、「手塚くんは、娘が付き合っている彼が家にきて『娘さんと結婚させてください』と言ってきたらなんと言う？」と聞いてきました。

 

私は、「そうだなあ、娘が選んだ人だから喜んで祝福したいね。下の娘の時もそうだったよ。」と言いました。

 

彼は、「そうだよね」とほっとした様子でした。

 

私は、「それで義昭くんはなんと言ったんだよ」と聞きましたら、

 

彼は、「わざわざ家に来るというし、来てみたらスーツにネクタイ姿で、こっちは普段着だったので焦ったよ。しばらく世間話をして・・・そして、いよいよ、今日のメインの話が出るなと思ったら真顔になったらいいのか、笑顔にしたらいいのか、顔がひきつる感じで、彼が口を開くのを待っていた。そしたら、『娘さんとできたら結婚させてください・・』と言うので、『できたらなんて言わなくてもいいよ』と思いながら妻がどういう顔で聞いているのかなと一瞬みたら、俺より先に『よろしくお願いします』と言いそうな顔をしていたので、妻が先でも良かったけど俺が先に言ったほうがいいだろうと思って、彼が全部言い終わらないうちに先を争うように『よろしくお願いします』と言ったよ。もともと賛成するつもりだったからよ。でも、もっと重々しく言ったら良かったかなあ」と笑いながら言いました。

 

「俺は反対だ！」とちゃぶ台をひっくり返したり、返事もしないでプイっと外に出ていったり・・返事の代りに酒を出してきて「飲め」と言ったり・・・、というのはTVドラマや映画の世界だよ、とお互いに笑ってしまいました。

 

「まあ、お互いに平凡だけど幸せだね」と言って別れました。

 

 

手塚利男

 

 

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